感想・要約『ガルシア=マルケス「東欧」を行く:G・ガルシア=マルケス』小説家による東欧のルポルタージュ

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本屋で偶然見つけた『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』という本です。

1950年代後半の東欧を旅した著者の様子が描かれています。

内容紹介

一九五七年、三十歳のガルシア=マルケスが「壁」以前の東西ベルリン、旧富裕層が生き腐れるライプツィヒ、対照際立つプラハとワルシャワ、冷徹残忍のアウシュビッツ、世界最大の村モスクワ、ソ連軍事介入の傷跡深いブダペストと、記者魂で駆け巡った九十日を作家魂で物語る。

現在(いま)を考える暗示(ヒント)に満ちた十一のルポルタージュ。

https://www.shinchosha.co.jp/book/509020/

G・ガルシア=マルケスとは?

コロンビア出身の小説家で、魔術的リアリズムという手法を確立し、後世の作家たちに多大な影響を与えた作家です。

1927年にコロンビアで生まれ、1982年にはノーベル文学賞を受賞しています。

有名な著作としては『100年の孤独』、『コレラ時代の愛』、『予告された殺人の記録』などとなっていて、世界的に高い評価を受けている作品も多数。

『ガルシア=マルケス「東欧」を行く』

本書は、ガルシア=マルケスが30代の前半に新聞・雑誌に発表すべく集めたルポルタージュをまとめた1冊です。



とある春の日の朝、友人であるイタリア人のフランコは突然こんなことを言います。

「鉄のカーテンの向こうがどうなっているか見に行かないか」

それを聞いた小説家のガルシア=マルケスと、グラフィックデザイナーのフランス人のジャクリーヌの3人は旅へと出かけることとなります。



1950年代後半のドイツ、チェコ、ポーランド、ロシア(ソビエト連邦)を旅した3人のルポルタージュとなっています。

いい本との出会い

この本とは書店で偶然出会いました。

僕は本屋を歩くことが好きで、そこにある偶然性は何度も僕を満たしてくれたような気がしています。



読みたいと思っている本が決まっているわけでもなく、ただ書店の中を歩く。

そうすると、偶然ある本と『目が合う』ことがあります。



僕はそういう本を手に取り、可能な限り買うようにしています。

ある種の運命のようなものを感じているのかもしれません。(ちょっと痛いです笑)



手に取った本の表紙を見て、目次とあらすじを読む。

しっかりと読むのは買って、家に帰ってからです。

しかし、その瞬間にいい本と出会ったかもしれないという気配があるのです。

ガルシア=マルケスの作品は

ガルシア=マルケスのことは知っていました。

『100年の孤独』、『コレラ時代の愛』という彼の代表作二つは読んだことがありました。



しかし、僕は彼の小説をどこまで理解しているのかは分かりません・・・。

特に『100年の孤独』という小説は非常に難しい小説でした。



それでも、彼が優れた小説家なのだということは分かります。

優れた小説家の書く文章には力がありますし、世界的な評価は決して嘘をつかないと個人的には思っています。

(理解できなければ自分の理解力不足ですね・・・)



いい作品は、時間を越えて価値のある情報となっていきます。

東欧諸国のルポルタージュ

世界は知らないことで溢れています。

そして、それは自分の国の中にいるだけではきっと理解することはできないことでもあります。



しかし、こういうルポルタージュは僕らの想像力を強く刺激してくれます。

外の世界へと出て行きたいと思わせてくれます。



本書を読むと独特な1950年代の東欧諸国の雰囲気が伝わってきます。



ドイツは分断されていて、アウシュヴィッツは虐殺の名残が残っている。

ロシアはまだソビエト連邦で、今と変わらずに広大だ。

ソ連には格差があり、スターリンは眠りについている。



それぞれの土地にそれぞれの歴史があり、たくさんの人がその歴史という大きな渦の中に生きてきたのだということがしっかりと残っています。



世界は広いです。

面白くもあり、恐ろしくもある場所です。



これは3人の90日間における旅の記録です。

こういう本を読むと旅に行きたくなります。

世界へと出て行きたくなります。



そんな本です。


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