
映画館で見てきました『運び屋』
なんとも言えない緊張感と、最後は感動的な結末・・・
映画『運び屋』とは
原題『The Mule』
2018年アメリカの犯罪映画
監督はクリント・イーストウッド
主演もクリント・イーストウッド
その他、ブラッドリー・クーパー、アンディ・ガルシアなどが出演
どんなストーリー?
主人公のアールは仕事一筋に生きてきた孤独な老人。
家族とも疎遠になり、商売でも失敗し家を取り押さえられようかとしていた。
そんなアールにとある仕事の話が持ちかけられる。
トラックを運転し、あるところへと向かうだけ。
車を運転するだけの簡単な仕事だ。
それだけならばとアールは仕事を受けるが・・・
それは麻薬組織の麻薬を運ぶ『運び屋』としての仕事だった。
事故も交通違反歴もないアールは運び屋としての仕事をこなしていく。
まさかこんな老人がとは誰も思うことはなく、仕事は順調に進んでいくが、同時に麻薬を取り締まるべく警察も動き始めていた。
多額の報酬を手にしていくアールは家族や知人との関係を修復し、失ったものを取り返していくのだが・・・
失ったものを取り返す、その難しさと美しさ
主人公のアールは非常に愛すべき人間だ。
映画をみて僕はそう思った。
演じているのは監督であるクリント・イーストウッド自身で、様々な経験を経て老いてきたのだという姿が非常によくわかる。
それは決して良いことばかりではない。
悲しい経験や、苦しい経験。
誰しもが経験するような人生の酸い甘いを経ている人物なのだということが分かる。
娘からは毛嫌いされている。
仕事一筋で家族をないがしろにしてきたからだ。
奥さんからも冷たい態度を取られている。
しかし、アールは失ったものを取り返そうと奮闘する。
正しい方法ではなかったかもしれない。
それでもアールは失ってしまったという自覚があり、罪悪感がある。
だからこそ取り返そうとするのだ。
『時間だけは取り戻すことができなかった』
途中、そんなセリフがある。
そして、誰しもが人生における何処かのタイミングで強く感じることではないだろうか。
時間は取り返すことができない。
自分がどんな選択をし、どんな人生を歩んできていようとも。
個人的にすごく好きなシーンがある。
警察であるブラッドリー・クーパーとアールとが喫茶店のようなところを会話をする場面だ。
麻薬の運び屋ををしている老人と警察官とが会話するというスリリングなシーンなのだが、この場面はすごく印象的だ。
お互いに一人の個人として純粋に話をする。
ブラッドリー・クーパーはこう言う。
『たまにはあんたのようは人と話をしたいものだ。』
それは心から出たすごく純粋な言葉のようにも思えた。
人は誰しも何かを失いながら生きている。
そして、失ったものを取り返すことは容易ではない。
取り返そうと足掻く姿は決してかっこいいものではない。
しかし、何かを取り返そうとする姿は美しい。
そんなことを考えた。