
アカデミー長編アニメ部門受賞ということもあり、映画館にて見てきました。
スパイダーマンシリーズは知ってはいたものの、映画館では初鑑賞。
感想はというと、一つの物語として、アニメとして、映画としてかなり大満足でした。
全体を通してかなり「アメリカ的」な仕上がりになっているスーパーヒーロー作品。
主人公のマイルスは物語の中で3人の大人と出会う。
それぞれにそれぞれの立場があるのだということを次第に理解し、少しずつ成長していく。
一人目は主人公の実の父親。アメリカ的な「マッチョイズム」を体現しているかのようなニューヨークの警察官。
息子には強くなることを願い、愛しているがゆえに厳しく当たってしまう不器用な父親。
二人目は主人公の叔父であるアーロン叔父さん。主人公は厳しい父親よりも「やりたいようにやればいいさ」という考えのアーロン叔父さんに懐いている様子。
主人公は父親に隠れてアーロンおじさんのところに行ってはグラフィティという落書きを一緒に書いている。
三人目が別の次元からやってくるピーターパーカー。死んだと思っていたスパイダーマンが突然主人公の前に現れる。
別の次元からやってきたその男は、スーパーパワーを持ちながらも、限りなく人間的な悩みを抱えている。
スパイダーマンの力を手にした主人公の一番理解し合うことのできる「メンター」という存在になっていくのだが、始めは主人公を育てるつもりは全くない。
主人公は三人の大人たちからそれぞれ異なる大切なものを受け取っていく。
そして三人のうちの二人とは別れが訪れる。
『主人公の呪い』という表現がある。
「ハリー・ポッターはヴォルデモートと戦わなければならない。」
読んでいる誰もがその結末を知っている。
主人公は主人公であるがゆえに宿命的に困難が訪れる。
そして、困難と立ち向かい、どうにかして解決しなければならない。
この主人公のマイルスも主人公の呪いに屈することはなかった。
最後には心強い新しいスパイダーマンの姿があった。
さすがアカデミー長編アニメ部門受賞。かなりおすすめです。